武神は全56話の13世紀の高麗時代を舞台にした韓国時代劇です。
奴婢から最高権力者にのし上がったキム・ジュン(金俊)を描いています。そこに以下のような要素を入れて物語が展開していきます。
- 奴婢の悲惨な生活から這い上がるための撃毬大会
- 権力者の娘からの一方的な恋と幼馴染との悲恋
- 権力闘争
- ダメな権力者への家臣の対処
- 蒙古の侵略という外圧に対してどのように対処するか
単純なサクセスストーリーではなく史実をからめた物語となっており、蒙古と対峙したそれぞれの状況に対応する権力者の政の考え方や対する家臣の対応ぶりを描いた物語となっています。
なので、主人公であるキム・ジュンが政権を取って最高権力者となった時の蒙古への対応方針についても過度に美化することなく(でも適度には美化している)、蒙古徹底抗戦派と親蒙古派との対立を描いていました。
どちらも一長一短あって、大国に対して小国がどのようにうまく振る舞うかのむずかしさを感じさせられました。大国の力に対抗するには小国の力では正面からぶつかっても潰されるだけで別の土俵で戦うしかない。
キム・ジュンが選んだ別の土俵は江華島(カンファとう、こうかとう)への遷都でしたが、それだけでは他の国土を蒙古に蹂躙されて結局は国家が疲弊してしまった。もう一つか二つ打ち手が出てくれば良かったのだけどそんなに都合のよい手はなかったということなのかな。まあ、ドラマでそんなものを描くと史実と違ってしまうのだけど、うまく一矢を報いるという嘘も見て見たかったです。
おそらく、近未来の日本は中国という強大な国家に弱体化したアメリカという後ろ盾くらいで対峙する局面もあるかもしれない。そんなときに力ではなく知恵で対応できるのかと思った韓国時代劇でした。
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