探索者

ジャック・マクデヴィット(著)
金子 浩(訳)

ネビュラ賞受賞した作品。物語は鷲がプリントされたカップから始まる。そのカップは九千年前に地球を旅立ったまま消息を絶った伝説の宇宙船〈探索者〉のものだった。古美術商のアレックスと相棒の女性パイロットであるチェイスは、探索者と、彼らが移住したといわれる植民星マーゴリアを発見するべく活動する。

探索者 (海外SFノヴェルズ)
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探索者 (海外SFノヴェルズ)
ジャック・マクデヴィッド
早川書房
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なし (Amazonポイント)
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単行本
在庫あり。
(価格・在庫状況は12月18日 15:31現在)

星を探すというテーマではアシモフの「ファウンデーション」シリーズでセルダンにより秘密にされていた第二ファウンデーションの捜索を思い浮かべるが、「探索者」ではファウンデーションよりはミステリー度合いは薄いし登場人物の切迫感も薄い。これは「ファウンデーション」では人類の未来と命までがかかっているのに対して、「探索者」ではお金と名誉とプライドといった個人的なものがかかっているという違いが大きい。

それと「探索者」ではアレックスの相棒であるパイロットのチェイスの視点から語られているために探索者と植民星マーゴリアを何が何でも探し出すという動機が弱いから当事者というよりは一歩引いた位置からの語り口になっている。

では、面白くないのかというとそうではない。読み始めたら4日間位で読み終えたくらい飽きさせずに先を読まさせる力を持っている。面白さの一つ目は探索者と植民星マーゴリアの捜索プロセスにある。ともすれば、やめたがるチェイスに限られたデータから次の糸口になる観点を見いだしすアレックス。まだ頑張るのと心で思いながらもアレックスの指示に従い実行するチェイスのコンビ振りがホームズとワトソンをアナロジーさせて面白い。

二番目はSF的ガジェット。死んでしまった人物のアバターを公開情報からモデリングして、そのアバターを呼び出してお喋りするというもの。その人物を知るということでは文献を読むよりも理解しやすいインターフェースだと思う。また、小説の技法としても、人物の説明を伝記的にするよりもインタラクティブで分かりやすい。

また、唯一の知性を持つ異星人であるテレパシー能力を持つアシユール人も面白いガジェットとして挙げていいだろう。チェイスが最初は嫌々ながらテレパシー能力を持つアシユール人の星を訪問するが、段々と打ち解けていく様が現代社会の人種間の問題をアナロジーしているように思える。私が新婚旅行でモロッコを旅行したときに東洋人が珍しいのかみんな、こちらをじっと見つめていくシーンを思い出した。

全宇宙的な災厄や謎解きではなく、あくまでも古美術商のアレックスと相棒の女性パイロットであるチェイスの冒険談というインディージョーンズ宇宙版というお話。重くならずに軽く読める作品です。

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