バリでの出来事

バリでの出来事のテーマは「貧乏」である!

4人のうち誰も幸せにはなれなかった物語。幸せになれなかったのは豊かさの中の相対的貧困—なつかしいフレーズだ。70年代安保闘争の残りかすの中で大学生活をすごした身のおじさんにとって、このドラマを見た第一印象はこれ。

ジェミンとヨンジュは上流階級ゆえに下流に属するイヌクとスジョンとは結婚できないというしがらみに対して、4者がもがくのだけど、どうしようもなくなって、どつぼにはまっていく。ドラマの各回はこのもがきをこれでもかと描いたドラマだといえる。

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4人がもがいた挙句のラストシーンはジェミンによるイヌクとスジョンの射殺とその後の拳銃自殺という救いようのないもの。さらに付け加えるならば4角関係といいながらジェミンからもイヌクからも愛されなかったヨンジュはラストのバリ島にはいなかったという、なんとも村八分的なオチまでついている。

このドラマの小道具としてバリ島が出てくる。バリ島は1話、2話と最終話で登場するだけであるがバリでの出来事とタイトルを飾っているのはなぜか。それを解く鍵は相対的貧困というキーワードにある。バリはリゾート地であり、そこでリゾートライフを満喫できる旅行者にとっては楽園であるがその周辺で生活している現地の人たちは金銭的には貧しい状態にある。

上流階級のジェミンとヨンジュ、下流に属するイヌクとスジョンのパターンがバリという楽園の島にメタファーとしてこめられている。

イヌクは貧しさゆえに大学時代に付き合っていた恋人とは結ばれない—–あんなヨンジュみたいないけすかない女性を恋人にするなんて、イヌクは女を見る目がなかったのね—–プライドが邪魔するのかヨンジュのヒモとして甘い汁を吸うことをよしともせず、かといってスジョンを強引に奪うこともせずにうだうだする。

スジョンは施設で育ち、出来の悪い兄によりいつもお金のない生活を余儀なくされ、しかも、まわりから虫けら扱いされている。一度はお金に目がくらみジェミンに囲われることを決意するが、優柔不断なのか心までは許さないという中途半端な信念によりジェミンとイヌクの間をうろうろして、挙句の果てにイヌクからのプロポーズさえ断ってしまう。←おまえはユジンか!!

根底に流れているのは貧乏というキーワード。貧乏がゆえに結婚できないとヨンジュから言われて悔しく思うイヌクが印象的だし、貧乏ゆえに馬鹿にされて思いっきりなくスジョンが哀れ。

一番情けなく感じたのはジェミンがスジョンと一緒になりたいのだけど父親から折檻されて、あきらめてしまうシーン。ジェミンには全てを捨ててスジョンを選ぶということは最後まで出来なくて結局は安易に射殺してその後に自殺をしてしまう。自殺できるくらいなら、父親に反抗して家を飛び出ればいいのにと思うのだけど彼の性格と能力では無理。でも、私はイヌクよりジェミンの方を応援していました。可愛い坊やという感じじゃないですか。そこで、一歩踏み出すんだと自分の優柔不断かつ弱い性格を彼に重ね合わせて応援していました。最後に自殺するんではなく大逆転をして欲しかったな。

最後のシーンをのぞけば結構面白かったです。韓国ドラマってずっーーと盛り上げて落としどころがわからなくなってハードランディングするのが多い。最低最悪のラストシーンは「パリの恋人」に止めをさすけど。

コメント

  1. とん子 より:

    stanakaさんおはようございます。「バリ」ご覧になっていらっしゃったんですね。
    >バリはリゾート地でありそこで満喫できる旅行者にとっては楽園であるが、その周辺で生活している現地の人たちは金銭的に貧しい状態にある<
    バリラバーの私でも気づきませんでした<(_ _)>
    その通りだと思います。それが最後まで続きますからね。stanakaさんはラストに納得はいかなかったようですね。弱い自分に打ち勝って欲しかったですか?ジェミンって皆に応援されるタイプですよね。ちなみに私は両方(ジェミン&イヌク)応援してたけど・・・
    TBが分からないのでURLにしました。飛ぶかどうか分かりませんが。無責任なこと言ってすいません<(_ _)>

  2. stanaka より:

    とん子さん、おはようございます。早起きですね。
    ジェミンはやっぱり多くの人から応援されているのですね・・・。どのあたりを魅力としてとらえられているか興味のあるところです。
    バリについては一度は行きたいと思っているのですが行けていないところです。なので、伝聞で書いています。
    TBですが記事の下に
    トラックバック用URL:http://review.kmlog.com/?itemid=668.trackback
    とあるのがアドレスですがわかりにくいですか? ちょっとデザインを変えてみよう。

  3. TODAマン より:

    stanakaさん、こんばんは。
    おせち料理の記事の紹介ありがとうございました。
    「バリでの出来事」私もラストシーン以外は満足できる作品だったと思います。
    韓国ドラマは貧富の差を描いた作品が多いのですが、それの典型といえるものだと思います。
    中でもグラムシ(マルクス主義者ですね)の「獄中ノート」からの引用が印象的でした。このドラマで私は初めててグラムシを知りました(何しろグラムシの作品は日本ではほとんど絶版状態。そして私は「革マル」と聞いて「??」という世代ですから)。
    韓国ドラマを観ていて面白いのは、反共政策が行われていた国のはずなのにドラマではマルクスが多くでてくることです。
    「4月のキス」では男の主人公が「カール・マルクスは●●と言いました」と言ってましたし、「パリの恋人」ではパク・シニャンが愛読書に「資本論」を挙げていましたしね。なぜなんでしょうかね。
    さてさて、昨日のチャングム・スペシャルはなかなかのものでしたね。特にファンミーティングの未公開映像が多くて良かったです。ただ女官の格好をした人の結びを直したのは「ヨンエの誓い」で間違いだったと言っているので、カットして他の映像を放送してほしかったです。あと個人的にはパク・ウネへのインタビューがあると良かったのですが・・・。

  4. stanaka より:

    TODAマンさん、おはようございます。
    グラムシは単なるカッコづけかと思っていたのですが、マルクス主義者だったのですね
    。私はマルクス、レーニン、エンゲルスは読みましたが(資本論ははなからあきらめてページ数のすくないのばかり)、グラムシという名前は知らなかった。
    そうすると最後に会社をうらぎって高飛びというのもうなづけてしまいます。
    チャングム・スペシャルについては新たに記事を作成して感想を書きますので・・・今晩あたりにかけるかな??

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