シネマート六本木で「韓国映画セレクション 2013春」というイベントで以下の3本が上映されていたので、そのうちの『ヨンガシ 変種増殖』を観てきました。
『恋は命がけ』
監督:ファン・イノ
出演:ソン・イェジン、イ・ミンギ、パク・チョルミン
2011年/114分
『僕の妻のすべて』
監督:ミン・ギュドン
出演:イム・スジョン、イ・ソンギュン、リュ・スンリョン
2012年/121分
『ヨンガシ 変種増殖』
監督:パク・チョンウ
出演:キム・ミョンミン、ムン・ジョンヒ、キム・ドンワン
2012年/109分
ヨンガシとはハリガネムシのことです。リンク先に書かれているように現実世界のヨンガシ(연가시)は昆虫(特にカマキリ)に寄生しますが人間には寄生しません(でも偶発的に規制することもあるようです)。成虫になって繁殖期を迎えると学術的には確認はされていないようですが、ホストをコントロールして水のあるところまで移動させてホストから脱出して交尾するそうです。
今回の韓国映画「ヨンガシ(연가시)」は変種増殖とあるように、ある研究所が薬品の研究のために哺乳類に寄生するように変種を作り出したという設定です。ところが、その研究所を運営していた会社が買収されて方針が変わり研究は放棄される。面白くない研究者は意趣返しにそのヨンガシをある地方の河川にばらまく。そのヨンガシを殺す特効薬は自社が生産している薬。株が上がって儲けることができるという算段・・・。
主演のキム・ミョンミンは製薬会社の営業社員ジェヒョクを演じている。MRという奴ですね。日本と同様、韓国でもお医者さんに取り入ろうとプライベートを放棄したような接待攻勢を繰り広げる。ジェヒョクは博士号を持っているにもかかかわらずこの過酷な仕事を務めているが、彼の家族がなんとヨンガシに感染してしまった。
ここから、ジェヒョクは家族を助けるために自社が生産している特効薬を手に入れるための戦いを繰り広げる。
なかなか、文字で書くと英雄的な活躍を想像します。映画のつくりとしても最初は主人公のジェヒョクはうだつの上がらない営業員で、しかも、人の良さが災いしてせっかく手に入れた薬も他人から略奪を受けてしまいどん底を味わう。
しかし、彼の博士号がモノを言う瞬間がやってくる。特効薬を大量に生産できる方法を思いつく。
このどん底のシーンから英雄的なシーンへの切り替えが全然、劇的ではないんです。しかも、その作り方というのがあんまり説得力がないし、そういう作り方なら韓国にいる薬品について知識を所有する科学者が100人くらいは思いついているだろうと思うんですよね。
一番肝心な部分が説得力のない展開となっているので観ている方に感動が届かないんです。さらに、ジェヒョクの活躍で特効薬が生産されてジェヒョクの家族も助かるシーンがあるのですが、ここの切り替えも見ている方が、へっ?となるようなシーン切り替えとなっていて薬が生産された後なのかどうかわからない切り替えになっている。ジェヒョクが家族の再会を喜んでいるシーンの後に特効薬の生産のシーンがあるのだけど順序を逆にした方が良かったのではと思いました。
作りとして、もう一つ工夫が足らない映画でした。韓国映画「ヨンガシ(연가시)」は韓国では400万人を超える観客動員をした映画でヒット作と言ってもいい映画です。俳優さんたちの演技がよかったからかな???
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