SF小説「マーダーボット・ダイアリー」上・下を読了。久々に一気読みさせられた作品だったので感想を書く。
「マーダーボット・ダイアリー」は宇宙に人類が広がり企業体や自治政府が複数存在している世界を背景にしている。どうやら銀河帝国とか銀河連邦といった宇宙をあまねく支配する権力は存在しないようだ。
また、異星人の痕跡はあるが異星人そのものは作品には登場しない。
作品に登場するのは人間と知性を持ったAIでAIは基幹システムや宇宙船に搭載されたりロボットに搭載されたりしている。
主人公は保険会社に所属する人型警備ロボット。保険会社の顧客である人間に契約の下で派遣される。警備ロボットは自立した知性を持っているが上位のシステムより統制されており勝手な行動は出来ないようになっている。
主人公の警備ロボットはある事件で暴走してしまい顧客である人間を大量に殺してしまう。ケチな保険会社は暴走した警備ロボットを回収して廃棄せずにモジュール入れ替えで再利用しようとする。起動したときに警備ロボットは再度暴走することのないようにハッキングして統制から逃れられる自由を得る。
自由を得て何をしたかというと統制されているフリして従来の仕事を続けている。それ以外には空き時間にダウンロードしたドラマを鑑賞することだ。
この警備ロボットが人間を警備する話をまとめた短編集となるただし、一つの大きな流れがあり4つの短編で一つの長編とみなすこともできる。
特徴としては統制からの自由を得た警備ロボットが
- 自分探しする
- 人と対面するのが苦手なシャイな性格
- いつも愚痴ばかり
- 人との付き合いが嫌いだったのに段々と惹かれていく様
なんというか独りぼっちだったのが自分の活躍で人から認められて自分の居場所を見つけていくという流れが読んでいて心地よい。
私の希望としては二話目に登場するARTを別の話でも出してほしかった。主人公とARTのコンビは最強コンビと思う。
続編「Network Effect」があるようなので日本語で読める日を楽しみにしている。
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