チャングム 皇后の密命に対する選択肢

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第49話でとうとう皇后がチャングムに対して非情な密命を出してしまいました。しかも、借りを返しておくれという言葉とともに。

イ・ヨンエ(宮廷女官・チャングムの誓い) 2006年度 カレンダー

チャングムは悩んだ末に、それは志と正義のためにできない。ついては命を差し出すという結論を皇后に伝えました。

果たしてチャングムにはこの命のバーゲンセールしか選択肢は無かったのでしょうか? 今回、この問題について思考実験(!?そんな大層なもんかい)してみました。

まずは整理のために、皇后の目的・目標を書き出しましょう。

  1. 王様が崩御された後においても、皇后は現状の地位・権力を保持できること。
  2. さらに、可能であれば自分の息子キョンウオン王子が王位を得ること。
  3. そして、自分の息子を通じて皇后が権力を行使できること。

次に背景・環境を書き出しましょう。ドラマではこのあたりの情報はほとんど直接的には提供されておらず、間接的に皇后の言葉から推測するということで導き出しています。

  1. チェ一族、オ・ギョモが粛清されたとはいえ、皇太后+東宮に連なる勢力は今だ強力である。
  2. それに引き換え皇后を支える宮中内の勢力は少数派である。
  3. さらに、皇后の独断で行った、チャングムによる王様の治療およびその結果としての成功を妬む臣下が多く勢力拡大につながる結果を出せていない。

このような宮中情勢および政治環境の中で、皇后の目的・目標を達成するための手段として、

  • チャングムの持つ医術スキルにより、東宮を病死と思わせるよう暗殺させる

を皇后はチャングムに指示しました。しかし、この指示はチャングムの志と正義に真っ向からぶつかるものであり、絶対に受け入れられないことであるため、矛盾が生じ冒頭にあった行動をチャングムは選択したのです。 この選択はチャングムが覚悟したように死に直結した選択であり、たまたま王様が外で立ち聞きしていたので救われる(多分)という、多分に幸運にもとづくものです。そのような幸運を期待した行動ではなく、きちんと計算した助かる蓋然性の高い選択肢は無かったのでしょうか?

チャングムは東宮を暗殺せよという手段にしか意識がいっていません。東宮の暗殺は手段であり、目的ではないことに気づいていないのです。何も東宮を暗殺しなくても皇后が期待している目的・目標を達成できればいいのです。 そて、そんな都合の良い手段はあるのでしょうか?

皇太后+東宮を支える勢力は、チェ一族やオ・ギョモのように保守的な勢力であると想像できます。この勢力の力を殺ぐために改革派なる士林派のような勢力を利用してぶつけてしまい、その勢力を皇后の味方にすればいいのです。 別に士林派でなくてもいいのです。そうなんです、チョンホを通じてかあるいはチョンホをリーダとして改革派を結集し皇后という後ろ盾を利用して宮中改革しながら、保守派の勢力を殺いでいくという図式をチャングムがチョンホとともに皇后に示せばいいのです。 そうすれば、皇后にしても別の選択肢となるし、チャングムにとってはベターな選択肢となるでしょう。ベストではなくベターとしているのはチャングムは決し てこのような宮中の勢力争いは望んでいないと思われるためです。しかし、幸運ではなく、計算どおりに助かるためにはこのようなことを画策するしかなかった のではと思います。

宮中女官チャングムの誓い第49話「「つかの間のなごみ」の感想

コメント

  1. ユジャ より:

    stanakaさま。先日は私のブログへ遊びに来てくださってありがとうございました。
    こちらに来て見ると、チャングム一話一話の解説などが素晴らしく、もっと早くこちらに来ていたらよかったのに・・・と悔やまれます。これから今までの記録を読ませていただきます。

  2. stanaka より:

    ユジャさん、ありがとうございます。
    今後ともよろしくお願いします。

  3. すまっぴ より:

     うーん…
    皇后が「息子は生まなきゃよかった」ってのはある意味本音だと思います。この子がいなかったら、世子に1本化できるわけで、争いもないわけですから。(でも側室だった彼女にこの子がいたから、皇后に上がれたっていうのも考えられるわけで。)自分の身の安全を思えば、確かに息子はいないほうがいいわけで…
     一本気なチャングムが密命を受けるか受けずに死を選ぶかで悩むのは当然じゃないかな?チョンホならここに書かれていることまで頭が回るかもしれませんが、医術と料理だけをやってたチャングムに宮中の勢力争いのことをわかれって言うほうが無理な相談だと思います。
     チョンホは…リーダーって言うよりも、左賛成の手足の一人なだけであって、彼自身には何もありませんし、皇后が信頼してるのはチャングムであってチョンホではありません。
     ネタばれですが…今後チョンホは自分の上司の左賛成にすら、チャングム一人のために反逆していき、チャングムを擁護する王様の言うことを聞く部下はチョンホひとりになっていきますので、その辺もお楽しみに。

  4. stanaka より:

    すまっぴさん、コメントありがとうございます。
    > 一本気なチャングムが密命を受けるか受けずに死を選ぶかで悩むのは当然じゃないかな?
    おっしゃるとおりです。ただ、ここでは前提としてチャングムの立場にあなたがいたらどうしますか?という問いに対する回答のひとつと考えてください。
    >チョンホは…リーダーって言うよりも、左賛成の手足の一人なだけであって
    これも上司を動かしてオギョモの不正を暴こうとしていましたので、私の判断ではチョンホを通じて改革派の人たちを結集できるのではとおもっています。

  5. すまっぴ より:

    自分がチャングムの立場だったら?うーん…そういうとき私は医女ヨリを思い出します。たぶんヨリと同じようにしたかもしれません。
    うーん、あとは、チョンホ経由での集まった人っていうのも多数いることは確かなようです。そんな彼を見限ってしまう人も多々出るんですけどね。

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