AMNよりいただいた本です。
ポスト3.11のマーケティング 企業は、消費者は、どう変わるか?
以下のように複数の著者が寄稿している本です。
- 脱「自粛」による日本の再構築 岸本 義之
- 震災後のメディアとマーケティング 横山 隆治
- 逆境に打ち勝つマーケティング・イノベーション 田中 義啓
- 東日本大震災で明らかになったソーシャルメディアの限界と可能性 徳力 基彦
- ネットの言葉は人を結ぶか ツイッターが紡ぐポスト震災のマーケティング 厚川 欣也
- Do the Right Thing 商品選択視点は「正しい」に向かう 平塚 元明
- Making is Connecting 震災後に立ち上がった「メディア」たち 高広 伯彦
- 変わるマーケティングの変わらぬ使命 山本 直人
以下、気になった点について書いていきます。
「震災後のメディアとマーケティング」でPDCAがネガティブな感じて紹介されています。その代わりにマーケティングダッシュボードを推奨しています。これはPDCAを誤解させるような書き方です。単に目標設定する時の指標の選び方が間違いなだけ。正しく、設定すればいいだけで、マーケティングダッシュボード自体もPDCAするためのツールだと思う。
「逆境に打ち勝つマーケティング・イノベーション」で書かれている一方通行による情報公開からカンバセーションによる双方向マーケティングが重要となるという指摘。カンバセーションにより企業が顧客の信頼を獲得しブランド力を高めるというもの。関連して、「Do the Right Thing 商品選択視点は「正しい」に向かう」で、結果的に深堀されているのだが、商品Aと商品Bの「正しい」の差はその商品が信じられる人々の手によって送り出されたものかどうかということと論じられている。この「正しい」を増幅するのはリアルさだとしている。現場の人の工夫や想い、苦労をリアルに顧客に伝えることにより「正しい」が増幅されていく。
おそらく、開発者の開発秘話とか、ここが特に苦労したポイントとかの熱い想いを聞いて、そのイベントをブロガーが自分が感じたその熱い想いを文章にして発信することによりその「正しい」を増幅する一助になるんだなと感じる。
「変わるマーケティングの変わらぬ使命」がまとめ的な論文となっている。3.11以降、復するものと復さないものがあると指摘。復さないものというのは3.11以降に新たに登場したものではなく過去から傾向としてあったのが、3.11を契機として明確に差異が出てきたというもの。そのひとつして社会志向が増えてきているというもの。ソーシャル・ネットワークが流行る土壌があったのですね。
まだ、明確にこうだと具体的に言い切る論文はなく概念的な部分で書いているのが大半。でも、3.11というのは確実なターニング・ポイントであり、日本がどこへ向かおうとしているのかを考察するにはよい本。
コメント