「陽だまりの彼女」はラブストーリーか?

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陽だまりの彼女 (新潮文庫)
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写真教室の仲間から「陽だまりの彼女」を借りて読了しました。

読み始めは、ボーイ・ミーツ・ガール(Boy Meets Girl)かと思いましたが、中盤ではミステリー、終盤ではSF、そしてラストはやっぱりボーイ・ミーツ・ガール(Boy Meets Girl)でしたね。

映画のサブタイトル「最初で最後の恋うそだった」とか「10年ぶりに再会した初恋の人は”不思議な秘密”があった」なんてところが、かなりネタバレしている感じ。

中学生時代の浩介と真緒

もうこれは絵にかいたような中学生の初恋。くっついてくる真緒を表面上はうるさそうに嫌がる態度を示しながら真緒のことが好きな浩介。

もう、ベタな初恋物語です。そして、別れ。10年間会うことのなかった初恋。それは浩介にとっては淡い初恋だったけど・・・。

社会人になった浩介と真緒

浩介の取引先に真緒がいてお互いが仕事上の担当者になるという偶然(浩介にとって)。仕事を通じて惹かれあう(あくまでも浩介にとっては)二人。そして、ゴールイン。

もう本当にベタなラブストーリーです。一緒になっちゃったら、ラブストーリーは終わりジャン、何を書くことがあるのよ。あとは倦怠期を描くしかないじゃんと思うのだけど・・・。

結婚した浩介と真緒

結婚生活も甘々の新婚生活が描かれていく。結婚前に真緒の育ての父親から結婚を反対され、駆け落ちするという展開も見せてくれる。

でも、ここからミステリーの展開となる。ミステリアスなのは真緒。

  1. 父親から真緒の記憶に13歳以前の記憶がないことを聞かされる。
  2. こっそり口座から多額の現金を引き出し隠している真緒。
  3. 浩介を振り回す気まぐれな真緒。
  4. 4階から落ちたしゅう君を飛び出して受け止めて、そのまま落下しても何事もなかった真緒。

真緒の持つ秘密は何だろうと気になってきます。そして、しゅう君を助けたあたりからなんとなくSFっぽい雰囲気がしてきます。

ラストの浩介と猫

浩介に10か月間という短い期間だったけど満ち足りた結婚生活を送らせた真緒。真緒は浩介と居られる時間が10か月程度というのは事前にわかっていた。真緒は短い期間でも/短い期間だからこそ浩介と一緒に生活することを選択した。

でも、浩介には真緒と過ごした10か月以降にも長い人生が待っている。その長い人生には最愛の真緒はいない。真緒がいない長い人生を浩介は生きていかなくてはならない。真緒との幸せな10か月間を経験した浩介にとって、残りの人生は耐えられるのだろうか?

真緒は浩介に残酷な仕打ちをしてしまったことになるのかもしれない。あるいは真緒がいなければつまらない人生だったところが、10か月間という短い期間でも至福の時間を過ごせたのだから幸せだったと言えるのか?

そのギャップを埋めるのがラストに出てくる猫なんでしょうが、私には中途半端に思える。これでは浩介は猫を見ながらずっと過去に生きることになってしまうのではないのかな。

あなたならどう考えますか?

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