小説 許浚 感想

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小説 許浚はとても面白い!! チャングムが好きな人はこの小説もきっと気に入るだろう。

上巻は「見習い医」編とも言うべき巻だろう。彼の師である柳義泰のもとで修行する時代を描いている。現代の若者では絶対についていけないだろうし、昔の若者でもほとんどはついていけない教え方。それはとにかく見込みのないヤツには教えない。では、見込みのあるヤツになるためには・・・自分で技を盗んで、自分で勉強して、自分の実力をとにかくアピールして示さないといけない。しかも、あくまでも患者本位でなくてはならず医術を金儲けや立身出世になんぞと思った瞬間に破門にされてしまう。許浚も内医院の試験に口利きしてもらう書状を地位の高い患者の夫から貰ったのをみとめがれて破門にされる。 しかし、必死に医術を追求してついに師匠に認められる。圧巻はこの認められる一因となった内医院の試験に間に合わなくなる危険(実際に遅刻して受けられず)を省みず、医者のいない村で患者を次から次へと診ていくシーンが感動的。

ERでグリーン先生があまりにも患者が多いので通常の手続きを無視して待合室で次から次へと診療していくシーンが思い浮かべられた。もちろん、許浚の方が数百倍も劣悪な環境と患者数に立ち向かったのだけど。

 

許浚〈上〉医の道に辿りつく
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そして、下巻は内医院編とも言える巻。

再度、受験して首席合格する。そこには師匠のライバルとも言うべき楊礼寿が首医として君臨しており、なにかと許浚を目の敵にする。その第一弾が首席合格の許浚を恵民署へ配属したこと。しかし、許浚は多くの患者を診療できると喜んで診療にあたり、恵民署の診てやるという態度を民のための恵民署に文化を変えてしまう。これに注目した高官が楊礼寿の対抗馬として許浚を日の目に当たる場所へ出すことを画策。そして、側室No1の弟の病を楊礼寿から引き継いで診療することに。見事に表面上の病だけではなく、根本原因まで治癒することに成功する・・・・。

チャングムとの共通点

許浚のモチベーションは身分差別にある。両班の父親だが妾の子として生まれたため低い身分にとどめられる。その低い身分から脱出するために医術を目指していくが、師匠が民のため医術のためにと自らの体まで投げ打つ姿を見て自分もそのような医者となると誓う・・・つまり志しを継ぐということですね。

疫病が発生している地方に飛んで治療方法を見つける。蔵に閉じ込められるシーンはさすがにありませんでしたが・・・。

医員は両班出身ではないため一番上の位で従五位なのだけど、上記の疫病対策で功績あったとしてそれよりも上の地位につけようとして両班階級より轟々の非難が出される。 チャングムでは医女が高い地位に付くというので、あれだけの騒ぎになったというのは許浚を読むと納得してしまいます。

主人公はスーパーマン。許浚もチャングムも実在の人物であり、許浚の場合は東医宝鑑という書を著しているので存在は確実ですが、小説どおりの人だとするととてつもない意志の強さと図抜けた頭の良さを持った人です。100年に一人の人なのだろうな・・・。

許浚は医術を生業としてかつ生涯の目標としてやっていくわけだが、当然失敗もあるし、妬みもかうこととなる。その度に周囲の評価は高くなったり低くなったりするが当人はぶれずに(若い頃は悩んだりしてましたが)突き進んでいくのはチャングムと一緒。

未完の小説

実はこの小説は肝心の東医宝鑑を作っていく部分の前で終わってしまっている。というのも、著者のイ・オンソンが心臓病で急逝したため。とても、残念。

はまってしまうこと請け合いの小説です。一読してください。

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