蓮池薫さんが初めて書き下ろしたエッセイ。主に太王四神記と朱蒙(チュモン)について書かれています。
蓮池薫さんが太王四神記と朱蒙を観ているだけではなくエッセイまで書いているということを知り、なんだかぐっと身近に感じてしまいました。切り口も独特のものがあり、へぇーと驚く部分が多々ありました。
ヒーローについて
北朝鮮や韓国でのヒーローは民族がキーワードになるとのこと。韓国での一番のヒーローは李 舜臣(イ・スンシン)将軍とのこと。文禄・慶長の役で民族存亡の危機を救った英雄。
一方、北朝鮮では民族に階級性と地域性が加味される。階級性というのは支配階級か被支配階級を擁護する人かであり、地域性は現在の北朝鮮の首都である平壌を中心としているかということ。ということで、支配階級に属しており韓国で人気が高いという反発から北朝鮮では李 舜臣(イ・スンシン)将軍はそれほど高く評価はされていない。うーむ、なるほどね。
日本のヒーローはというと日本を変革させた人がヒーローとなっているとしている。聖徳太子、源頼朝、源義経、織田信長、豊臣秀吉、坂本竜馬、高杉晋作をあげています。
常に大国である大陸からの圧迫があった朝鮮民族と島国の日本ではヒーローが違うというのはなーるほどと思わせてしまう分析ですね。
高句麗人について
高句麗人の死生観、人生観、冠婚葬祭について興味深い記述があります。高句麗人は死んでも来世で生まれ変わると信じている。そのため結婚式より葬式を重視していたという。さらに、死を恐れなかったため非常に勇敢に戦ったとのこと。チュモンや太王四神記の戦闘シーンを思い浮かべるとちょっと見方がちがってくるような感じがします。
また、結婚も自由な雰囲気があったということで、ユファとヘモス、タムドクとキハとスジニの恋愛エピソードもあながちドラマの中だけの話ではないだろうとしています。
セリフについて
本書の最後のほうに蓮池薫さんの韓国歴史ドラマの鑑賞法が書いてあり興味深い部分があります。
太王四神記 第17話「冷たき慈悲」でタムドクが天地神堂に行ってキハと対峙するシーンではお互いの心がわからずに決別してしまいます。それに対して、チュシン王が愛する女の心も察することが出来ないのはどういう訳かと突っ込みを入れています。察してしまうとドラマはヨン・ホゲが一人孤独な戦いとなってしまうのでそういう訳にはいかせない都合がある。
そして、タムドクとキハとの会話でキハが「私の心はチュシン王のもの、その人がチュシン国を再建するまで何でもする」と言っているがここでのチュシン王はキハのお腹の中の子供を指していると指摘しています。第17話を録画しているかなと探したのですがなかったので確認できていませんが、このとおりのことをキハが言っているとしたら私はそこまで気づきませんでした。ちなみに蓮池薫さんは当たり前ですが原語で鑑賞されているので翻訳も蓮池薫さん自身のもの。
出てきましたので、再確認しました。タムドクはキハが言っているチュシン王をヨン・ホゲのことだと認識してしまっているんですね。かなりなすれ違いですよね。

コメント
ちょっと韓国は李舜臣フィーバー過ぎますよね。
北朝鮮はそれほどではないらしいけど、韓国も昔はそれほどではなかったという話もあります。
私のヒーローは北条泰時。
地味ですが、江戸時代までは侍の英雄と言えば泰時だったらしい。
時代によって英雄は変わると言うことかな?